11/22/2015

2016年1月9日(土) 無双 TOKYO EDITION - LIVE @ Absolute Blue

新年早々、日本にお邪魔してこの凄いメンバーとライヴやります!
お見逃しなく!


凄いメンバーを集めることに成功してしまいました。わははは。

市野元彦さんと古谷淳さんはBerklee音大の同期で、現在御自身のプロジェクトを中心に日本で大活躍中。お二人とも独特の音世界を繰り広げ注目を集める、僕の大好きなミュージシャンで、過去に帰国ライヴを行った際にも御一緒して頂いています。
井上陽介さんは申し上げるまでもなく文字通り日本を代表する名ベーシスト、彼がNY御在住の頃ちょくちょくお世話になりました。

余りにも共演が待ち遠しすぎるこのカルテットで、オリジナルとスタンダードを織り交ぜたっぷり2時間、極上の音楽、お届けします!めったに見られないこの組み合わせの妙が生む一晩限りのステージ、絶対にお見逃しなきよう今から御予約下さい!

そして気になる「ハコ」は、先般惜しまれつつ幕を下ろしたSOMETHIN' Jazz Club NYでさんざんお世話になった星川あゆみさんが、帰国後池袋に立ち上げたライヴハウス、Absoute Blue。母校立教大学時代に夜な夜な遊び歩いた(笑)西池袋に新たなシーンを築きつつあるこのヴェニュー、初出演が今から楽しみです!

皆様にお会い出来るのを、心からお待ちしています!来てね~

★御予約はこちらから!

6/17/2015

自己開示

僕は数年前からフル・タイムの音楽家ではなくなり「もう一つの仕事」のためにニューヨークから少し離れたところに移った。それは別に隠していることでも何でもなく、僕と直接関わりを持っている人なら皆知っている。それは家庭を持つ人間として人生設計の過程で決めたことで、恥ずかしいことでもない。しかしミュージシャンとして振舞うときに「敢えて言う」ことはしてこなかった。

アメリカで一人の人間が異なる職種の仕事を二つ、三つ抱えていることは珍しくない。格差が激しく失業率の高いこの社会に於いて、それは収入の安定を図るためであると同時に、一つの仕事がコケたときの保険でもあり、また人の生涯がたった一つの仕事によって規定・評価されるものではないという文化社会的な流動性、柔軟性が確保されていることの証左でもある。

ミュージシャンとて例外ではなく、素晴らしい音楽を生み出しながら会計士をやったり教師をやったり弁護士をやったりその他の商売をやったりと自由である。ここでは「音楽家(musician)」とは「音楽を作る人(one who creates music)」全てを指し、その活動が家計にどれほど貢献しているかの度合いにはあらゆるグラデーションが考えられ、決して「プロ」と「アマチュア」の二極ではない。そして生み出す音楽の質と「食えているかどうか」には(残念ながら)殆ど相関性がない。

日本人の方々は何故か一つの仕事で食っていくことにこだわり、他人にもそれを求めるので、自然ミュージシャンについても「それだけで食っている『プロ』」と「趣味でやっている人」の二種類しか思い付かないようである。今でも思い出すのはかつて流行ったMySpaceのミュージシャン用ページのプロフィール欄で、英語のオリジナルでは 「Signed」「Indie」という選択肢だったのが日本語訳では「プロ」「アマチュア」に置き換えられていて「すげえな、メジャー契約していないミュージシャンはみーんなアマチュアか」と日本人が持つ音楽業界観の厳しさに苦笑したものだ。

そんなわけで特に日本人と接する場合、僕のような「兼業」ミュージシャンは居心地が悪い。音楽家ですと言えば「すごいですね、音楽で生活していけるなんて!」という反応が往々にしてあり、他にも仕事を持っていると判ると何だか騙されたというようにガッカリなさる方も稀にいる。僕自身は以前に比べてペースこそ落ちたが変わらず「プロの仕事」をして対価を頂戴しているし、一緒に音楽を作っている仲間の多くはフル・タイムの音楽家として頑張っている。僕が音楽だけを生活の糧にしていないからといって「じゃあ趣味でやっていらっしゃるんですねー」などと言うことは、僕の音楽性と技術、そして事前の準備などを含めたプロフェッショナリズムを信頼して雇ってくれる彼らに失礼な話だと思うが、まあ音楽を生業としない人々には中々そこまで考えは回らないのかも知れない。

そんな日本人特有の「仕事観」に基いて活動を評価されたり、専業でないことに無用な罪悪感を背負わされるのがちょっと辛いなと感じることがあり、ここに敢えて兼業であることを開示してみようかと思った次第。ミュージシャンといっても色々な生活スタイルがあるのだということがもっと理解されればと思う。ペースがゆっくりになったとはいえ、ニューヨークを中心とする音楽シーンを現在進行形で創り上げている素晴らしいミュージシャンたちの多様なプロジェクトに今も関わることが出来るのは有難く嬉しいことだ。今後も自らの最善を以って彼らの美しいヴィジョンを表現するために尽くしていきたい。